コアラと化粧品

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今日は買い物に行ってきた。

友達へのプレゼントを買いに行った。

 

娘を連れているとベビーカーか、エルゴという高価な抱っこ紐(その辺を歩いている母親の8割方が使っている)で行動することになるのだが、そうなると否応なしに「動きやすい服・靴」と「両手が使えるリュック」という格好になってしまう。髪は楽な黒髪ショート。化粧の時間なんてそんなに多くは取れない。

 

ちょっとそこまでお買い物に行く分にはそれで十分なのだが、街に出ればそうはいかないらしい。

街行く同年代の女の子は髪を綺麗に染めて流行りの服を着て、小さなバッグにいかにも歩きづらそうな可愛い靴を履いている。メイクだって気合が入っている。

 

普段の生活範囲ではそんな子たちには到底会うことがないので忘れていたが、私も子供を産んでいなければその子たちと変わらないことをしていたのだろうか。

自分のことや彼氏のこと、大学やバイト、仕事のこと。自撮りにカフェにパンケーキ。みんなで旅行、一人旅。可愛い服、楽しい話、少し派手なメイク、高いヒール、きらきらのアクセサリー。

 

まだ22歳、もう22歳。5月になれば23歳。

家を出るまでは何とも思わなかった自分の服装が嫌になる。街を歩くのが恥ずかしくて、なぜか気が急いてしまう。

最悪だ。プレゼントは化粧品。デパートのコスメ売り場はおしゃれな店員さんでいっぱいだ。怖い。

送り状を書かなきゃいけない。そのあと娘にミルクをあげなきゃ、授乳室はどこだ?ああ、ここに座っているだけで恥ずかしい。なんでこんなに大きな鏡があるんだ。どうして鏡の周りに電球がぴかぴか光っているんだ。

私がぴかぴかしてたのはいつなんだろう。通り過ぎていくあの子たちみたいに。

さっさと買い物を済まし、さっさと帰路についた。

 

抱っこ紐を着けてリュックを背負った私と向き合う娘はまるでコアラの親子みたいだった。